出版社・レーベルの紹介文

保育者時代、子どもの言葉に感動し、記録しつづけてきた著者は、子どもの「言葉から文字へ」という過程に着目しました。ゆたかな言葉の生活を育むことは、子ども同士の世界に伝えあう楽しさがいっぱいあることです。さらに、言葉に出さなくても文字にかくことで伝えあう喜びもあることに進みます。 　集団の場である園生活の中で、どんどん展開することば遊び、かるた遊び、郵便ごっこ、など、具体的な実践例がいっぱいで、その楽しさが生き生きと伝わってきます。 「言葉の教育についてのQ&A」「言葉から文字への発達過程を踏まえた指導計画」などの資料もあり、保育者にも、親たちにも役立つ内容になっています。

目次

<はじめに:幼児期の文字教育、三つの柱>

<第1章:幼稚園教育要領・保育所保育指針の改訂と保育内容「言葉」>
第1節:幼児教育の中心課題は自我の育ち
■言葉の獲得は自我の育ち/自我が芽生え、拒否の言葉が生まれる/言葉を聞くことは相手の気持ちを受けとめること/「いやっ」と言えない子どもに注目する/「保育所保育指針の改訂」に見る幼児の自我の育ち
第2節:幼稚園教育要領の改訂に見る「言葉」
■どこが変わったのか/自分なりの言葉で表現する/文字などで伝える楽しさを味わう
第3節:幼稚園教育要領・保育所保育指針の領域 「言葉」における問題点
■言葉の獲得と自己統制力の育ち/言葉で考える力を養う/飽くことなく発する疑問こそ思考の賜/思考の言葉を育てる保育者の関わり

<第2章:言葉から文字へ―文字の獲得の過程>
第1節:話し言葉の発達過程に現れる文字への関心
■言葉を覚えたように文字を覚える子どもたち
第2節:生活の中で文字と出会う
■教えられずに発見していく喜び/文字環境に出会うとは?/「文字そのものの興味」と「書き言葉」への関心/子どもの話し言葉を文字化し伝える/自分たちが作った生活カルタで遊ぶ/詩を楽しむ生活から文字の関心が/絵本やおはなしで文字を構成する力を

<第3章:ことば遊びを楽しみ「書き言葉」への要求を育てる>
第1節:生活の中でいろいろなことば遊びを楽しむ
■ことば遊びとは?/ことば遊びを生み出す子どもたち/言葉から連想するイメージがくい違う楽しさ
第2節:文字の獲得を促すことば遊び
■一音一字の発見、音節分解、音韻抽出/音節分解や音韻と文字を対応づける遊びの実践/音節分解が理解できない子には/音韻抽出を促す遊び/しりとり遊び
第3節:その他のことば遊び
■同音異語/なぞなぞ/反対ことば/言葉の変身箱

<第4章:友達や仲間との生活の中でこそ、生まれ広がる「文字で伝える喜び」
第1節:生活の中で文字で表現する必要性をとらえる
■「いばるなよ」―強い子への挑戦状/「こわさないでね」/長期欠席の子どもに送った手紙/保育者からの飛行機メール/年中組の「生活ニュース」ごっこから、テレビの動画面づくりへ/『あいうえおってどんなかお』の絵本
第2節:名前を大切にする生活
■仲間や友達の名前を読みたい!/自分や友達の名前の由来を知る/描いたり作ったりしたものに自分で名札をつける/絵本の貸し出し/学校ごっこから名刺作りへ/名刺交換ごっこ
第3節:書くことによって自分を見つめ、成長したい気持ちを抱く
■話せなかったことを手紙に書く/卒園記念文集を子どもたちと一緒に作る/なおちゃんの絵本作りから

<第5章:Q&A 幼児期の文字教育はどこまでしたらいいの?>
■鏡文字を書く/書き順がちがう/就学前に読み書きはどこまで?/濁音や拗音は?/文字を書く前に必要なことは?/ワークブックはだめですか/文字に関心のない子

<第6章:言葉から文字への発達過程を踏まえた指導計画>
■発達過程区分別にみた言葉についての発達の姿/年齢別「言葉」の環境と活動表

<おわりに:子どもに人から人へ生きる力をつなぎ伝えていく感動を>