出版社・レーベルの紹介文

親たちの困難な実態と、そうした親子とともに歩もうとする保育者たちの実践に光を当て、新たな親と保育者の共同のあり方を探る。

目次

第1部:現代の子育ての実態と母子関係
■第1章:出生率低下の意味するもの(現代の女性は子ども嫌いか?/子ども志向の強まりが子どもの数を制限する願望をうんだ/出生率低下の原因は晩婚化と未婚率の上昇)
■第2章:今日の母子関係の全体的傾向(「子育ては自分の手で」と考える母親が多い/子育てへの関心も高く熱心/当たり前の生活が難しい時代/子育ての喜びよりも不安や苦痛が上回る/子どもとだけ向き合う生活の孤立感・閉塞感/育児に手いっぱいの状況/育児情報の氾濫の中での子育て/「良い環境」「良い子育て」と子どもの育ちへの不安/子どもと大人の関係の困難/母親の生き方と子育て)
■第3章:「幼児虐待」にみる子育ての新たな困難(「子どもがかわいくない」「子どもをたたいてしまう」と訴える母親/「子どもをたたく」ことと母親の苛立ち/「これって虐待?」という母親の「子育ての混乱」)
■第4章:生活の困難と母子関係〜放置される子どもたち(貧困の再生産と子育て/若年出産と子育て/母子家庭と子育て/さまざまな「子育ての困難」を抱えた親たちと共に)
■第5章:働く母親と子育て・母子関係(働く母親の増加と子育ての問題/働く母親と女性労働の再編/常勤・専門職の母親と子育て/パートの母親における子育ての困難/仕事と子育ての矛盾の拡大)

第2部:子育て・母子関係を支える保育の課題
■第1章:家庭での子育てと保育園における援助(親の養育責任と保育・社会的援助/親と保育者が共同して子どもを育てる/「子育て支援」とは何か―保育の専門性が問われている)
■第2章:保育者関係の困難と大切さ(保育の基本をどう考えるか/「親と保育者の関係」の困難の背景/保育研究運動における「親と保育者の関係」)
■第3章:親と保育者の新たな共同をつくり出す保育実践(家庭に困難がある時保育の中でできること/親も安心できる保育園―親を責めるのではなく・支え・考え合う関係を/「実家のような保育園」―いづみ保育園の実践から/父母と保育者で子どもを見る目を育て合う―ひばり保育園の実践から)

第3部:子どもの発達と母子関係研究
■第1章:母子関係論とはどのような理論か(今日でも根強い「3歳までは母親が」/日本の保育政策と母子関係論/ホスピタリズム研究とは何か?/ホスピタリズム研究と保育園/ボウルビィの母子関係論(マターナル・デプリベーション論)/母子関係論の精神)
■第2章:「母性的養育の喪失」をどう考えるか(「マターナル・デプリベーション」(母性的養育の喪失)とは/母と子の「分離」と「マターナル・デプリベーション」とは異なる/「幸福な分離経験」が“きずな”(ボンド)の形成につながる/母子関係論から子どもをめぐる人間関係論へ)
■第3章:「愛情」研究が明らかにしたこと(「母と子のきずな」の形成に「感受期」はあるのか?/愛着の発達的意味?/愛着の相手は母親でなければならないか?/愛着の相手は一人か?/子どもの気質・個性への愛着/愛着のタイプは母子関係の気質の反映か/愛着の発達は文化によって異なる)
■第4章:母親の就労と子どもの発達(働く母親の子どもは非行になる?/「母親の就労と子どもの発達」に関する研究が明らかにしたこと)
■第5章:デイ・ケア(保育)と子どもの発達(子どもを保育園に預けることは子どもの発達や親子関係に良くない?/専業主婦の母親の孤立・苛立ちと社会的保育の必要性/これからの保育研究の課題)