出版社・レーベルの紹介文

「心の中で、“こんなことを言ったらどう思われるだろうか”と思うと、気軽に相談できないんです」と、あるお母さんが言われました。そんなふうに、話すこと、伝えることがむずかしい社会のなかで、「子ども」の相談に携わってきた著者が、これまでの事例をふりかえりつつ、“子どもの発見”を手がかりにしながら、一方通行でない関係づくり、安心して相談できる大人同士の関わり方を考えます。

目次

はじめに:相談すること、援助すること

第1章:「子どもの相談」のむずかしさ
■「子どものことで…」の裏側にある大人の真意
■アドバイスされるより、ホッとしたい
■「悩みは解決したほうがいい」か?
■自分のつらさと向きあえたことの喜び
■子どもの問題の裏側にあるもの
■横並びの位置関係へ
■養育行動の成り立ち・価値観を知る

第2章:不安・悩み・困り感のズレを通して
■「困っている」ことはありません!?
■理解を深める尋ね方
■気づきの「ズレ」とコミュニケーション
■「わがことのように」受けとめてもらう経験
■子どもの「困った行動」と見えない「困り感」
■「子どもへの対応」とはどういうことか(「成長に必要なトラブル」には時間をかけて/「対応」ということば/「子どもへの対応」は、子どもを発見する営み)

第3章:活動をともにするなかで育つもの
■想像のひろがりと感覚の共有
■自分のなかに助けてくれる他者が位置づく体験を
■大人も子どもも未熟な自分に向きあいながら育ちあう

第4章:子ども理解と子育て支援
■「子育てがうまくいく」ってどういうこと?(「相手の意図」と「自分の思い」がぶつかりあう/子育てに「一般的アドバイス」なんてない/懇談会で「イライラ」を出しあうなかで/「うまくいく」と「しょうがない」)
■固定的な価値観に対する子どもからのサイン
■その子なりのわかり方、気づき方を探る
■工夫の共有と育ちあい

第5章:並びあい育ちあう援助関係へ
■「あきらめる」ことの積極的な意味
■不安を強める「相談」だったとしても
■並びあい育ちあう援助関係へ(「問題」とは、「そのような状況がある」ということ/「困っている」ことだけに焦点化しない援助/「話を聴くこと」再考/大人たちが一緒に考え、共有する関係/マトリョーシカ人形のような関係)