出版社・レーベルの紹介文

ヴィゴツキーの晩年の原稿や講義の速記録集である「児童心理学の諸問題」と、未完の著作「子どもの発達における道具と記号」の訳出の二部構成。ヴィゴツキーの円熟した思想をわかり易く解説。

目次

<第1部:児童心理学の諸問題>
第1章:年齢の問題
■子どもの発達の年齢時期区分の問題(従来の発達時期区分/発達時期区分の原理/子どもの発達における危機的年齢と安定期)
■年齢の構造と動態
■年齢の問題と発達の動態
■発達の最近接領域の診断

第2章:乳児期
■新生児期(新生児の基本的生活状態/早産児と過期産児の発達/個人的心理生活の始まり/新生児の心理生活の特質)
■乳児期における発達の社会的状況
■乳児期の基本的な新形成物(乳児の発達の基本的三段階/「始原われわれ」意識の発生/乳児の模倣)

第3章:一歳の危機
■危機の三つの基本的モメント
■ことばの発生(連合理論の批判)
■シュテルン学説の批判
■ことばの誕生
■子どもの自律的ことば
■自律的ことばの実例
■子どもの自律的ことばの特質

第4章:幼児期
■幼児期の新形成物
■行動の状況拘束性
■感覚機能と運動機能との統一
■情動的知覚
■幼児期の知覚の特質
■社会的態度の基礎の形成
■幼児期の子どもの遊び
■幼児期の知覚と物との関係
■意識の体系的構造の発生

第5章:三歳の危機
■三歳児の反抗癖(ネガチヴィズム)
■三歳児の強情
■反抗心
■子どもの反乱
■三歳の危機の諸結果
■理論的結論

第6章:七歳の危機
■直接性と無邪気さの消失
■意味づけされた知覚
■七歳の危機の特質
■人格と環境とその統一
■子どもの経験―人格と環境との統一体を研究する単位
■内的経験の再構築としての危機

<第2部:子どもによる道具と記号(言語)操作の発達>
第1章:動物心理学と児童心理学における実際的知能の問題
■子どもの実際的知能に関する実験
■道具の使用におけることばの働き。実際的知能と言語的知能の問題
■子どもの行動における言葉と実際的行為
■子どもにおける実際的活動の高次形態の発達
■事実から見た発達の道
■社会化されたことばと自己中心的ことばの機能
■実際的活動におけることばの機能の変化

第2章:記号操作と心理過程の組織化
■高次精神機能の形成における記号の問題
■高次精神機能の社会的発生
■高次精神機能の発達の基本原則

第3章:子どもの記号操作の分析
■記号操作の構造
■記号操作の発生的分析
■記号操作のその後の発達

第4章:結論
■機能システムの問題
■動物と人間における道具の使用
■言葉と行為