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中川ひろたかセルフ・ライナーノーツ

いちについて ぼくのうたきみのうた5 藤本ともひこ&ON'S(大友剛・野々歩・中川ひろたか)最新アルバム

世界中のこどもたちが

2010-2-04 10:28

  • 作詞:新沢としひこ
  • 作曲:中川ひろたか
  • 作成年月 : 1987-3
    初出:音楽広場(1988-1 クレヨンハウス)
    初出アルバム : カセット『世界中のこどもたちが』(1988 クレヨンハウス)
    初出楽譜集 : 月刊「音楽広場」別冊『世界中のこどもたちが』(1989 クレヨンハウス)

新沢としひことの歌作りにおいて、記念碑的な一曲。

はじめ送られて来た詞は、
世界中のこどもが 一度に笑ったら 空も笑うだろう 海も笑うだろう
世界中のこどもが 一度に泣いたら 空も泣くだろう 海も泣くだろう
世界中のこどもが 一度に笑ったら 空も歌うだろう 海も歌うだろう

これだけだった。
世界中のこどもたちでなく、世界中のこども。
メロディは、すぐ付いた。
が、続けて、サビのメロディが、出て来た。
なんか、自然にぺろぺろと。

新沢家の応接間。ソファに座って、この曲を聴かせた。
そして、サビがあるんだと言って、続きを歌うと、
新沢は、もう一度歌ってくださいって言って、紙とペンをとった。
もう一度歌うと、新沢は、なにやら書き始める。
続けてくださいと、新沢。
ぼくは、続けて歌う。さらさらと書き付ける新沢。
フレーズごとに、これを繰り返し、そして、
「こんなので、どうでしょう」
サビの歌詞が、できていた。

そんな風に、この歌はできあがった。
いわゆる、Aメロが、詞先、
Bメロが、曲先という、めずらしい形。
「世界中のこどもが」も「こどもたち」に変更されて
メロディに乗り、うたいやすく、大きくなった。

これは、新沢が言っていることだが
この歌が書けたのには、わけがあったらしい。
5月号の詞を、見たとき、ぼくがダメ出しをしたらしいのだ。
「こいのぼりが風に乗ってクネクネよ」みたいな詞で
もう、こういうのじゃなくてさぁ、
子どもの日なら、子ども讃歌でしょう!って、言ったらしいのね、中川が。
その時、新沢は、すべてがわかったんだって。
そうか、子ども讃歌かって。
で、書いて来たのが、この『世界中のこどもたちが』と『ハッピーチルドレン』だった。

『音楽広場』(『クーヨン』の前身)5月号用に書かれたものだったが『世界中のこどもたちが』でなく、
『ハッピーチルドレン』を雑誌用に掲載して、『世界中のこどもたちが』は、とっておいた。
NHK『みんなのうた』に出したかったのだ。
当時『ワンツー・どん』で知り合った大和田リツ子さんに、相談して、デモテープを作った。
大和田さんが歌った。
大和田さん経由で『みんなのうた』担当ディレクターに聴いてもらったのだが、
待てど暮らせど、結局、いい返事は来なかった。

『音楽広場』の創刊が1986年11月。
創刊号から、作詞作曲のページを任されていたぼくは、
悪戦苦闘しながら、『今月の歌』を書いていたのだが、2月号で、苦しんだ。
まったく、詞がかけない。
〆切は、とうに過ぎている。
その時思い出したのが、新沢としひこだった。
当時、大学を出たばっかりだったんじゃないかな。
将来、何がしたいのと聞いたら「作詞家です」と答えた、新沢のことを。
「あ、あいつに頼もう」すぐに電話をかけた。
「2月号の詞書かない?」と言うと「書きます、書きます」って、電話を切ったら、
ものの30分もたたないうちに「できました」って。
「早いね」と言うと「3つできました」
当時、ファックスもない時代。電話で読み上げてもらった。
どれもよかった。すばらしいと思った。
そうして発表したのが『オニはうちでひきうけた』だ。
たとえば、とんぼさんの詞に、曲をつけるのとは、まったく違う感覚だった。
新しい扉が開いた感じ。
それまでとは、違うメロディが、溢れ出た。

そうやって、1987年の4月から、二人の連載は始まり、
立て続けに今も歌われているような歌たちが、この年に誕生した。
『世界中のこどもたちが』は、結局、1月号に『はじめの一歩』とともに発表。
はじめて、陽の目を見る。

『音楽広場』創刊の翌月(1986年12月)に誕生した「トラや帽子店」は、
この曲を必ず最後の曲にし、全国の人たちに、この歌を届けた。

この歌は、ほとんど、マスコミで流れていない。
(フジテレビ『ポンキッキーズ』で、
V6のイノッチこと井ノ原快彦さんと、ブラザートムさんが、たまに歌ってたけど)
マスコミの力を借りずして、ここまで広がって、
みんなの知られる歌になったのは、けっこう、自慢。
『みんなのうた』で流れなくて、ああよかった。

マスコミといえなくもないが、教科書に載ったのは、大きかったかも。
最初に、掲載したのは「東京書籍」。
今は、4社全部の音楽教科書に載っている。

ああ、イノッチと言えば、これをV6 のコンサートで弾き語りしてたらしい。

2004年、田島征三さん、浜田桂子さん、和歌山静子さんらの呼びかけで103人のイラストレーターが、一冊の絵本を作った。そのテキストに『世界中のこどもたちが』が選ばれた。
「平和を作ろう!絵本作家たちのアクション」に参加したイラストレーターたち。
アキノイサム/あきやまただし/東 逸子/あべ弘士/荒井良二/安野光雅/飯野和好/池田あきこ/いせひでこ/市居みか/伊藤秀男/いとうひろし/伊藤正道/井上洋介/いわむらかずお/宇野亜喜良/梅田俊作/エム ナマエ/大島妙子/太田大八/大友康夫/おかべりか/小野かおる/小渕もも/おぼまこと/織茂恭子/片山 健/かとうようこ/菊田まりこ/菊池日出夫/きたやまようこ/金 斗鉉/木村裕一/黒井 健/黒川みつひろ/黒田征太郎/五味太郎/こみねゆら/酒井駒子/ささめやゆき/佐藤直行/沢田としき/篠崎三朗/杉浦範茂/杉田 豊/スギヤマカナヨ/鈴木まもる/関屋敏隆/瀬名恵子/そうまこうへい/高畠 純/高部晴市/竹内通雅/武田美穂/田島征三/田島征彦/多田ヒロシ/田中清代/谷川晃一/田畑精一/出久根 育/どいかや/とよたかずひこ/とりごえまり/永田 萠/長野ヒデ子/なかやみわ/西巻かな/西巻茅子/西村繁男/野坂勇作/野村たかあき/野村俊夫/長谷川知子/長谷川義史/はたこうしろう/はたよしこ/浜田桂子/原ゆたか/はらだゆうこ/平田 景/ひろかわさえこ/福田岩緒/藤本ともひこ/牧野鈴子/松成真理子/南 椌椌/南塚直子/宮西達也/宮本えつよし/みやもとただお/村上康成/元永定正/本信公久/矢玉四郎/やべみつのり/山口マオ/山下ケンジ/山本容子/油野誠一/和歌山静子/和田 誠/わらべきみか (以上103名)

同じく2004年、福岡出身のHIBARIが『世界中のこどもたちが』のシングルCDをリリース。松尾”KC”潔のプロデュースで、サンバ風にアレンジされたこのヴァージョンは、今、カラオケでも、うたえる。

元力士小錦さんも、ハワイアン風にアレンジして歌っている。
かなりコンサートの定番と聞いている。



この世の中は、いっこうによくなりません。
その夢を広げようにも広げられない子どもたち、
その声を届けようにも届けられないこどもたちは、たくさんいて、
その子たちのことを思うと、この歌は、メッセージです。
『世界中のこどもたちが』を歌っているのは、日本中のこどもたちだ。
ほんとうに、世界中のこどもたちが歌ってくれる日を、ぼくは、待ち望んでいるよ。


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